2009年06月16日

川端康成「雪国」

営業に連れられてゲートを抜けると修羅場であった。プログラマの前途が暗くなった。入り口のそばで足が止まった。

向かい側の座席からSEが立って来て、部長席の前の受話器を取った。顧客の怒声が流れ込んだ。SEは手をいっぱいに広げて、遠くへ叫ぶように、
「仕様なんです、仕様なんです」

IDカードをさげてゆっくり入館して来た男はiPodで耳の穴をふさぎ、目に大きなクマを作っていた。

もうそんな状況かとプログラマは開発現場を眺めると、人が寝ていたらしい毛布が床に寒々と散らばっているだけで、彼の心はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた。

「お客さん、仕様です。議事録にもそうあります」
「ああ、話にならんじゃないか。部長はいるかい。また作り直しだよ」
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2009年06月15日

枕草子

春は設計
まったく白紙のままの、要求は少しも決まらないで、裁断された議事録の細くたなびきたる。

夏は実装
定時過ぎはさらなり。終電もなほ、プログラマの多く乗り逃したる。
またただ1人2人など、(力尽きて)儚く椅子に突っ伏して寝るもをかし。徹夜するもをかし。

秋は試験
夕日のさす頃にようやく仕事をする気持ちになりたるに、(定時までに)お客様のところへ確認へ行くとて、3人4人、2人3人など慌てて飛び出していく様などあはれなり。
まいて重役などの連ねたるが、肩を落として客先へ謝罪に行くのもいとをかし。
日入り果てて、(会議室から聞こえる)怒声、罵声などはまたいふべきにもあらず。

冬は運用
システムの落ちたるはいふべきにあらず。データの不整合も、またさらでも、不審な動作にログなどを急ぎ開いて、追いかけて回るもいとつきづきし。
昼になりて、障害票を持ていけば、上司の顔色が白く灰がちになりてわろし。
posted by MW at 01:29| Comment(1) | TrackBack(0) | 文学