学校の勉強ってどうして必要なの?(砂糖水編)

前書き

勉強は好きですか?

僕は好きです。

昔はあまり好きじゃなかったんだけどね。

大学を中退した後くらいからかな。急に好きになっちゃった。

中学に入ると、数学で二次方程式とか、微分積分とか、日常じゃ絶対に使わないような勉強が始まるよね。

理科でも元素記号を覚えたり、イオンとか電気分解とか、やっぱり日常じゃ使わなそうなことを勉強する。

こういう勉強って、どうして必要なんだろうね。

今日は、学校の勉強を頑張ると、将来、どんな風に役に立つかってことについて書いてみたい。

スティーブ・ジョブズって知ってる?

ちょっとだけ、過去の有名なお話をしてみよう。

この話を聞くと、どうして勉強が必要なのかがわかると思うんだ。

えーと、みんなはスティーブ・ジョブズって人を知ってるかな。

アップルっていう会社のボスだね。

アップルは、ケータイとかパソコンとか音楽プレイヤーを作ってる会社で、他の会社が作らないような新しい製品を出すことで知られてる。

その製品が出すたびにバカ売れしていて、今ではアメリカでも有数の大企業になってる。

さっき調べてみたんだけど、アップルという会社の価値(2011年時点の時価総額)はだいたい25兆円なんだって。

日本で一番大きい会社のトヨタでも11兆円くらいだから、その2倍以上の価値があるってことになる。すごいね。

スティーブ・ジョブズは、アップルという会社を作った人。そして今も画期的な製品を提案し続けているエライ人。

砂糖水を売りたい? それとも世界を変えたい?

さて、そのジョブズさんが、アップルを作ってからまだそれほど経ってない1980年頃のこと。まだ携帯電話も普及してない、アップルがパソコンを作る会社だった頃の話。

当時、ジョブズさんは、物を売る能力が高い人を探してた。アップルで作ったパソコンをたくさん売ることができる人が欲しかったんだね。

ジョブズさんが目をつけたのは、ペプシコーラ社(あの炭酸飲料のペプシコーラを作ってる会社ね)の幹部だったジョン・スカリーさん。

スカリーさんはペプシのCMに新しい手法をいろいろ取り入れて、売上を大きく伸ばした人だった。

ジョブズさんはアップルが作ったパソコンをたくさん売るために、スカリーさんをアップルに引き抜こうとしたわけ。

この時、ジョブズさんはスカリーさんの心をつかむために、こんな決めゼリフを言ったらしい。

「このまま一生、砂糖水を売りつづけるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいか」

(Do you want to sell sugar water for the rest of your life, or do you want to come with me and change the world?)

アップルっていうのはIT系の画期的な製品を作る会社。そこで作られたものは実際に世界に大きな変化を起こしたりしてきた。

もちろん砂糖水を売ることだって大事な仕事だ。ペプシも、コカコーラも、キリンも、アサヒももいなくなっちゃったら、僕らはジュースが飲めなくなってしまう。

それに、ペプシしそは(世界を変えたりはしなかったけど)僕の世界観を変えた画期的な砂糖水だ。

でも、そういうことは置いておいて、世界を変える仕事って言われると、ちょっとグッとくるよね。

勉強はどんな風に役に立つか

さて、そんなジョブズさんのお話を聞いてもらったところで、勉強の話に戻ろう。

えーとね、僕はこういうことだと思うんだ。

砂糖水をレジで売るだけなら、小学校までの勉強で十分だよ。

でも、たとえば砂糖水を売るだけでも、いろんな種類の仕事が関わってくる。

今年の夏に砂糖水がどれだけ売れるかを予測して、商品をどれだけ作るかを決める仕事を任されたとする。

たくさん作り過ぎたら余ってしまって損をするし、作る量が少な過ぎて品切れになってしまったら、もっと売れたはずなのにと後悔することになる。

だからこれまでの売れ行きとか気温とかのデータをたくさん集めて、少しでも正確に予測しようと、数学の知識とか統計の知識を活用することになる。

これはかなり高度な知識が必要になる仕事だ。とても小学校レベルの数学ではできない。

砂糖水を作るための機械を設計する仕事をに就いたとする。すると、中学の理科でやっていることを数段難しくしたような知識が必要になる。物理電気工学も分からずに機械を作るのはちょっと厳しいからね。

小学校までの勉強しかしてないと、やれる仕事はすごく限られる。それが、中学校の過程をマスターすると、もう少しやれることが増える。高校、大学と勉強を続けていけば、どんどん自分がやれる仕事は増えていく。

もちろん、学校の勉強がそのまま役に立つというわけではなくて、「こういう仕事をやりたいなぁ」って思った時に、それを実現するための基礎になってくれる。

野球をやるにはまずキャッチボールくらいはできないといけないし、バットの振り方くらいは知っておかないといけないよね。学校の勉強はそういう基礎的なことを教えてくれてるんだ。

僕自身の話

僕はプログラマっていう仕事をしてる。プログラマはだいたい中学1年生くらいの数学の知識があればできる、それほど難しくない職業。

でも、プログラマの中にもレベルがあって、たとえば敵がたくさん弾を撃ってくるようなシューティングゲームを作ろうとすると、もう少し上の学年の数学の知識が必要になる。

他の人よりも速く動くプログラムを組もうとすると、アルゴリズムとか数式とか、高校や大学でやるような数学の知識も必要になる。

普通に生活できるだけの給料を得られればいいやと考えていたら、そこまで難しい知識は求められないけど、僕は世界を変える仕事がしたいなって思ってるから、そうも言っていられない。

僕は高校で文系を選択してたから、数学の勉強はちょっと苦労してる。でも、赤点を取らない程度には高校数学も勉強したから、苦労はするけど、参考書を頼りにゆっくり読めば、なんとか難しい数式も理解することはできる。

もし小学校までの算数しか知らなかったら、僕は数式が読めずに、たくさんの知識を理解できないまま放り出してしまったかもしれない。

それからプログラマは英語が読めるととても有利。日本語に翻訳されていないたくさんの英語の資料を読むことができるから。

学校で英語の勉強をしていなかったら、英語の資料を読むのももっと苦労してただろうなって思う。

学校の勉強がそのまま役に立つことは少ない。でも、僕が学びたいと思ったことの基礎には、たいてい中学で勉強した数学の知識であったり、物理の知識があったりするんだ。

だからね、僕は心から思うんだ。学校の勉強を、それなりにやっておいて良かったって。

最後に

ここまで読んでくれて、ありがとう。

今日書いたことをまとめると、普通に生活する分には必要になることは少ないけど、そこから1歩前へ、1歩深いところへ行こうとした時に、その足がかりとして役に立つ。それが学校の勉強だと思う。

ちなみに僕が受けた教育の中で一番感謝していることは、本を読む力を育ててくれたこと、つまりは国語

たいていの知識は本に答えが書いてある。それを理解する力は、一番基礎的で、何を学ぶときにも大切なこと。

学校だけでなく、両親が僕を「本を読む子供」に育ててくれたことも、とても感謝してる。

さて、僕の話はこれでおしまい。

最後にみんなに1つだけ質問をして、この文章の締めにしよう。

人はそれぞれ好きなものが違う。野球が好きだったり、サッカーが好きだったりするように。

どちらを選ぶかは、みんなの自由。

だから、この質問に正解はない。

安心して好きな方(もしくは、それ以外の自分で思いついたオリジナルの選択肢)を選んで欲しい。

あなたは、砂糖水を売る仕事がしたい? それとも世界を変える仕事をしたい?

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